出張日当の相場と決め方
出張日当に法律上の金額基準はありません。では何を根拠に決めればよいのか。条文と通達が示す 2 つの判断材料と、実際の相場を整理します。
日当は交通費や宿泊費とは別のもの
出張でかかるお金は、大きく 3 つに分かれます。
- 交通費 — 新幹線や飛行機の運賃。実費、または規程で定めた定額
- 宿泊費 — ホテル代。実費、または規程で定めた上限までの実費
- 日当 — 出張中の食事代や雑費をまかなうための定額。領収書は要りません
このうち日当だけが「実際にいくら使ったか」と関係なく支給されます。領収書なしで経費にできるぶん、金額の根拠が問われます。
法律に金額の基準はない
日当が非課税になる根拠は所得税法 9 条 1 項 4 号です。条文には金額も距離も出てきません。
給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、(中略)その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの
「通常必要であると認められるもの」をどう判断するかは、国税庁の通達(所得税基本通達 9-3)が 2 つの見方を示しています。
- 役員・使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準で計算されているか
- 同業種・同規模の他社が一般的に支給している金額に照らして相当か
つまり「役員だけが極端に高い」「同業他社の水準から大きく外れている」という状態でなければよい、という考え方です。逆に言えば、この 2 つを説明できるように決めておけば足ります。
相場はいくらか
公開されている調査では、国内出張の日当は次のような水準です。
部長クラス
10,000 円前後
国内・日帰り/宿泊とも
一般社員
9,000 円前後
同上
宿泊費
10,000〜11,000 円
役職を問わずほぼ同水準
役員・一人社長の場合は 10,000〜15,000 円を上限とする例が多く見られます。ただし調査によって幅が大きく、2,000〜3,000 円を目安とする資料もあります。
片道何 km から「出張」とするか
ここにも法律上の基準はありません。実務では片道 100 km 以上を出張とする例がいちばん多く、100〜200 km に設定する会社もあります。基準に届かない移動は「外出」として扱い、交通費は実費で支給するが日当は出さない、という書き分けが一般的です。
近い距離まで出張に含めることもできますが、通勤圏内に近づくほど「通常必要」の範囲から外れて見られやすくなります。含めるなら、その距離帯の日当は低めに設定しておくのが安全です。
決め方の手順
- 出張の定義を決める(片道何 km 以上か、宿泊を伴うかどうか)
- 日当の金額を決める(距離帯ごと、または役職ごと)
- 宿泊費の上限を決める
- 交通費の扱いを決める(実費か、主要区間は定額か)
- 精算の期限と方法を決める
- 以上を旅費規程として文書にし、役員会などで承認して運用を始める
金額は本文に直接書かず、別表にしておくと改定しやすくなります。
条文の構成と書き方は 旅費規程の作り方 で詳しく説明しています。
気をつけること
- 規程がないまま日当を払わない — 規程なしの支給は給与とみなされ、所得税がかかります
- 役員だけを極端に高くしない — 通達 9-3 の「適正なバランス」から外れます
- 決めた額と違う運用をしない — 規程どおりに支給していることが前提です
規程の範囲を超えて支給した分がどう扱われるかは 出張手当が非課税になる条件 にまとめています。
タビマネでの設定
タビマネでは、距離帯ごとの日当を設定しておくと、出張の予定を入れるだけで移動距離から日当が計算されます。旅費規程のファイルをアップロードすれば、その内容を読み取って設定に反映することもできます。自分で調整した内容は、名前を付けて 3 件まで保存できます。
出典
- 所得税法 第9条(非課税所得) — e-Gov 法令検索
- 所得税基本通達 9-3(非課税とされる旅費の範囲) — 国税庁
- 日当・宿泊費の水準は、国内出張旅費に関する公開調査の集計値(2025 年度)
規程どおりの日当を、計算しないで出す
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